今は灰汁発酵建てと呼ばれる建て方で藍建てをしているのですが、近く、地獄建てと呼ばれる究極の藍建てをしたいと思い、それに合わせて読みたいと思っていた本を読みました。
《正藍染 爽やかな日本の色》
日本の染色16
泰流社
読む前は地獄建ての具体的な建て方が書いてあるものと思っていました。読んでみると、そうではなく、名だたる有名な染色家の方の藍に対する真剣な向き合い方、心構えが書かれていました。
地獄建てには藍に向き合う姿勢、それこそ大事なのかもしれません。
藍を建てることを『藍を育てる』
毎日かきまぜながら具合を見ていくことを『藍のごきげんうかがい』といって、心を込めて作業し子供のように大事に育てていく。そんな様子を表現した言葉。地方によって言い方は変わるのですが、藍に向き合う気持ちが伝わります。
『乱暴にすくもを投げ込んだ藍甕はどうしても染めの艶は出ない。しかし優しくいたわるように仕込んだすくもは本当にこちらの気持ちをよく汲んでくれます。その藍の喜びが、染めの艶に出てくるんだね』北島正藍研究所 北島保さん
遠い昔から藍染に関わっている人は同じように藍を大切に思い、真剣に取り組んできたのだと、しみじみ。
それでも現在においても藍建て、日々の管理は、こうすれば正解ということが言えません。
だから毎日様子を見ては、ごきげんうかがいをして、『今日は調子がいいね、沢山染められるね、』『今日は沢山染めたから、栄養に貝灰、灰汁をどうぞ、また元気になってね』とそんな気遣いが必要なのです。
技術も大事だけど、藍にはそうした心構えが必要なのだと勉強になりました。